市政報告)気候変動適応策『グリーンインフラ』導入について

台風15号・19号、10月25日の一連の風水害は、住宅・商業施設・農業・インフラなどに大きなダメージを与え、市内各所で内水氾濫や河川氾濫が起き、被害は甚大なものになりました。未だに傷痕を残し復旧を終えておらず、店舗など再開の目途が立たない方もいらっしゃいます。地球規模で起こっている気候変動の影響は、一連の災害によって、私達のすぐ身近に来ていると気づかされました。

 

私も地元消防団として水防出動をしておりましたが、排水作業をしながら感じたことは、印旛沼流域下流に位置する佐倉市は、間違いなく今後も気候変動による甚大な被害を受けるだろうということです。

 

現状のままでは、「今後の被害を回避することができない」と強い危機感を覚え、国立環境研究所で印旛沼流域を専門に研究されている西廣淳教授に会い、これからの気候変動適応策である『グリーンインフラ』について勉強をしてきました。

 

国立環境研究所(気候変動適応センター):https://ccca.nies.go.jp/ja/index.html

 

グリーンインフラとは、自然が有する多様な機能や仕組みを活用したインフラストラクチャーや土地利用計画を指し、我が国が抱える社会的課題を解決し、持続的な地域を創出する取組みとして期待されている新しい考え方です。

期待される効果は、人口構造物(グレーインフラ)と併用した雨水管理、気候変動適応、生物多様性、里山保全、そして将来的には印旛沼水質浄化に寄与する仕組みです。

国では既に国土交通省・環境省・農林水産省の三省連携事業を展開しており、千葉県でも『地域気候変動適応計画』を策定し推進していますが、佐倉市においては未だ導入されていません。西廣教授から気候変動による印旛沼流域の降雨量の揺れ幅が大きくなることを示唆され、印旛沼下流にある本市のグリーンインフラ導入の必要性について説かれました。

 

令和元年十一月議会におきまして、内水氾濫対策と、グリーンインフラのなかでも特に『生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)』について質問を行いました。

内水氾濫対策としては、『雨水管理総合計画』のなかで重点地域を5地区設定し、従来の時間当たり降雨量50mmから82mmへ引き上げ、床上浸水解消を目指すとの答弁でした。また、急速な河川への雨水の流入を防ぐため、土壌の雨水貯留性を活用するべく雨水浸透普及の必要性を訴えました。

 

グリーンインフラ関連について今回は導入促進ということで、あまり掘り下げた質問はできませんでしたが、研究チームの受け入れなど、検討していただけるとの回答を得ることができました。

 

古くから水害に悩まされてきた佐倉市です。今後の気候変動による災害を最小化するためには、本市でも『地域気候変動適応計画』の策定・実施と、千葉県や近隣流域市町と連携した『気候変動適応センター』化を視野に入れた迅速な動きが求められます。

 

 

国土交通省(グリーンインフラポータルサイト):http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000015.html

環境省(生態系を活用した防災・減災 – Eco-DRR):http://www.env.go.jp/nature/biodic/eco-drr.html

千葉県(気候変動影響と適応への取組方針)https://www.pref.chiba.lg.jp/shigen/chikyuukankyou/tekiouhousin.html